増富山地西部縦走(瑞牆山

今週の木曜山行は虫倉山の予定だったが、参加者がおとみ山だけだというので、それなら春に一緒に登ったばかりだから、なにもこだわることもあるまいと別の計画を練ることにした。

虫倉山の冬枯れの樹林がとても良かったので、これが緑に覆われたらさぞすばらしいだろうという、ごくごく私的な興味でこの時季に計画を立てたわけだったが、ここのところ鷲ヶ峰、小日向山と、続けざまに隣近所の山に行っているので、まあ、だいたいあのあたりの新緑は満喫していて、ちょっと新鮮な山へ行ってみたくなったのである。

そこで思いついたのが最近執心している増富山地であった。ここなら近いので、車2台で出かけ、普段ならできない縦走ができる。

まず神戸の旧隧道へ車を置き、本谷川へ向かう。先般探った増富温泉から金山への旧道は、今では針の山への歩道から分岐して東へ続くが、おそらくかつては津金楼あたりから本谷川の右岸の高みに径があったのではないかと想像される。

したがって針の山の歩道から西へ分かれて続く径が残っているはずで、その入口のように見える分岐は先日確認してあった。それをたどれば、1322.1mの三角点(点名増富)から南下する尾根をまたぐから、そこから三角点に向かって登ればいいと考えたのである。さらに北上し、主稜に出たら神戸へ向かう。

しかし考えていた径はすぐに途切れ、落ち葉の中に埋没してしまった。そこで適当に急斜面を登っていくと、ほどなく山腹を巻いてきている径に出た。古い径は少し高いところに通じていたらしい。

尾根をとらえたらそれを登るのみである。大きな花崗岩を縫いながら登っていくのはこの山域の特徴で、そんな露岩の上からは眺めも開けた。キノコ採りか猟師の径か、そこそこの踏跡が続いている。

すっきりとした晴れだが気温が低い。立ち止まると寒いくらいである。この気温のせいだろう、今もっともにぎやかなはずの春ゼミの声がまったく聞こえない。

先日ひとりで歩いたばかりの、和田からの尾根に出たら、わずかで神戸への分岐である。途中にある大小の突起をことごとく巻いて径が続く。道標さえあれば立派な登山道である。

和田峠で車道に出てからがむしろ難しかった。地形図にない林道があったからで、しかし、その林道の途中はまだ伐採地に植林されたばかりで、大展望が得られた。普段見慣れた山々でも、少し見る位置が違っただけで新鮮に見える。

連れて行った犬のココがこの林道あたりでどこかへ消えた。また鹿でも追っかけているのだろうと、木陰で小一時間昼寝をして待ったが一向に現れる気配がない。

仕方がないと先に進むことにした。林道に惑わされているので、このあたりからは難しかった。まあそれでもなんとかデポした車にたどり着き、峠を越えて出発点に戻ると、ココは車の下で寝そべっていた。バカ。

傘山(赤穂・空木岳)

伊那谷は飯島町の傘山(からかさやま)の名前をどうやって知ったのか最初の記憶がとんとない。何かのガイドブックに載っていたのか、地形図を眺めていて目に留まったのか、去年、おとみ山が傘寿だというので、傘の付く名前の山はないかと探して偶然見つけたのか。

ともあれ、飯島町でこの山の登山道を整備したのはまだ最近のことらしく、その際、頂上の木を伐採して大展望の山になった。安心して登れる登山道ができたおかげで、以前から傘寿のお祝いにこの山に登る人がいたのがさらに増えているというのだから、こちらの希望どおりで、まさしく願ったりかなったりである。http://www.town.iijima.lg.jp/index.php?f=hp&ci=12646&i=15506

おとみ山の傘寿記念登山にちょうどいいと去年の木曜山行で計画したが雨で流れた。そこで1年遅れではあるが、今年も再び計画に入れたのだった。

展望の山が天気が悪くてはつまらない。木曜日は悪天で金曜日が晴れるというので順延としたら、肝心のおとみ山が珍しく都合がついたうえに、参加予定者も皆OK、天気も雨上がりのさっぱりとした好天になった。

登山道はふたつあって、最初は林道でかなり上まで車が入る登山口から登るつもりでいたが、仔細を検討しているうち、いかにも由緒ありげな、麓の御嶽神社を経由する登山道のほうがよさそうに思えてきた。車で行程をケチるとあとあと悔いを残すことがある。林道コースは駐車場からさらに林道を50分も歩くというので、少々行程は長くなるとはいえ、すぐに山道に入るほうが涼しそうでもある。

これが大正解で、登山口からすぐに樹林帯に入って日差しがさえぎられた上に、昨日は願ってもないような涼風が吹いていて、最初のうちはほとんど汗をかくこともなかった。

登山道には石もなく地面はあくまで柔らかく、これは滅多にないほどのいい径である。頂上直下にわずかながら急登があるものの、概して傾斜もゆるやかで、こういった径はことに下りが楽である。実際、登りの半分ほどの時間で下ってしまったのであった。

楽なコースから登ってくる人と頂上では出会うかと思ったが、結局誰も登ってこず、我々だけの頂上だった。伊那谷のパノラマは言うまでもなく、背後にぐっと近い中央アルプスが大迫力だった。山々に雪がたっぷり残っている頃ならなおさら素晴らしいだろう。

背負い上げたワインやビールでささやかにおとみ山の1年遅れの傘寿を祝い、たわらさんの来るべき傘寿の前祝をした。おとみ山は来週からブータン遠征、帰国後はすぐに秋田へ遠征するという。私はこれを「元気病」と名付けている。ともあれ山は元気の素ですな。おめでとうございます。

和田峠〜三峰山(霧ヶ峰)

扉峠から三峰山を越えて和田峠までは、稜線の雰囲気の良さや展望の良さなど、霧ヶ峰や美ヶ原界隈でも一二を争うハイキングコースだと思われるが、八島湿原から蝶々深山へのコースあたりに比べると段違いに歩く人は少ない。もっとも最近は、はやりのトレイルランやロングトレッキングコースになっているようだから、日によってはにぎわうこともあるのかもしれない。

これまで扉峠から三峰山には何度も登ったが、一緒に行った人たちには和田峠まで歩いてもらったことはあっても、私自身は車の回収の都合上、三峰山から和田峠の稜線を歩いたことはなかった。そんな自分の興味もあって、今週の木曜山行ではそれに接待から和田峠への中山道歩きも加えて計画してみたのだった。

私が三峰山に初めて登ったのは、鷲ヶ峰に横山夫妻と登った日だった。13年前のことである。頂上から見えた三峰山に、ついでにあれも登ってしまいましょうと、ハシゴ登山をしたのである。ことほどさように、三峰山はビーナスラインの三峰山展望台から登る分には、ついでに登れる程度の山である。しかしさすがにそれでは物足りないと、自転車で車を回収するようになってからは、扉峠から歩くようになったのである。

さてその横山夫妻が今回は参加してくださることになり、それに常連Sさんが加わった。天気予報は雨こそ降らないようだが、一日中曇りだという。朝起きると濃い霧で、少々気勢は上がらない。そこで、予定より遅い出発とし、もし現地に行ってもやはり霧が濃いようなら、三峰山は割愛し、接待から和田峠への中山道歩きだけにしましょうと出かけた。

ところが高速道路に乗ったら霧はみるみる晴れ、日差しも出始めた。雲が多くとも青空ものぞいている。霧ヶ峰まで上がったら、今しも三峰山にかかっていた雲が取れるところであった。こうなったら割愛するのはむしろ中山道のほうで、和田峠から三峰山に登るにしくはない。

ビーナスラインが近接しているのでエンジン音が気になりはするが、その車道をこちらも使っている以上仕方がない。行く手に現れる三峰山の姿は扉峠側からより優れていると思った。もちろん径の状態は上々で、それだけでもこれは第一級のハイキングコースである。車を2台用意して和田峠から扉峠へと歩くなら、それも遠望の利く好天の一日なら、こと山岳展望については他の地域では決して得られない満足が得られるだろう。それはむろんこの山の絶妙な位置による。

虫倉山〜小日向山縦走(霧ヶ峰・和田)

この週はにゅうの予定だったが、木曜日は悪天の予報に順延したら、早朝、名古屋からNさんがやってくることになった。ならばその途中で合流できる中信高原が位置的に最適である。またしても計画の変更である。プランは無数に考えられるが、諸々を勘案して虫倉山と小日向山の縦走をすることにした。私にとっては小日向山は今年2回目、虫倉山にいたっては3回目となるのだが、いい山は何回登ってもいいし、Nさんは両山とも初めてなのだから、きっと楽しめることだろう。

7月になった日にふさわしい、いかにも夏らしい天気になった。標高1500m内外を上下する縦走だから、日影でじっとしていれば真夏といえどもさほどの暑さではないのだが、昨日の暑さはなかなかのものだった。ことに日向では厳しかった。帰ってから体重を測ったら2キロ近く減っていたから、2リットルもの汗をかいたことになる。

虫倉山への登路は前2回とは少々変えたが、これはまあ簡単で、順調に虫倉山へ着いた。ここから小日向山までは勝手知ったる道筋だから、目をつぶっていても歩けるくらいである。緑に覆われた森はやはりすばらしい。

小日向山から西は初めてだったが、葉が茂って行く先の見えない夏だから、進路を定めるのが難しいところもあった。国道脇にデポしておいた車まで600mの下りである。だんだん暑さが増すのに閉口しながらも、予定どおりの道筋で車にたどり着いた。人気の山域に接していながら、全行程でひとりの人間も見なかった。こんな山があるのをうれしく思う。

かねてから考えていた縦走が実現できて幸いだった。Nさん、ありがとう。

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