後蔵(小淵沢)

国道20号が国界橋で長野県に入るとほどなく甲州街道蔦木宿にさしかかる。この宿の西側釜無川を隔てて盛り上がっているのが後蔵と呼ばれる山である。国界橋から急登で平久保池のほとりに出、稜線を北上する。あいにくの小雪舞う天気だったが、下りきったところが塩沢温泉の真裏、間髪を入れず湯船につかれるという好配置で身体の冷えも解消する。山仕事以外に入山する者はまずいないこういった山が案外近所にあるのだからおもしろい。
蜂城山〜866m峰〜大久保山(石和)

桃源郷を眼下に白峰三山ををはるかに望むならこの山をおいてはない。あいにく桃のつぼみはまだ固かったが、いかにも春らしい白峰を眺めることができた。866m峰と大久保山を周遊する。伐採地のヒノキの若木がすっかり育って、いたるところからあった眺めを隠してしまっているのは残念だった。思えば10年ぶりに訪れたのである。大久保山の御神木の松はすっかり朽ちていたが、その手前の尾根にはすばらしい風格の赤松が何本もあった。御神木の子孫かもしれない。
淵ヶ沢山(長坂上条、鳳凰山)

釜無川右岸に近い山々は、後ろに連なる鳳凰甲斐駒鋸にまぎれて目立たない。日常的に山歩きを楽しむならこうした山々を放っておく手はない。ただし、初心者だけで入山する山ではない。鹿や熊に出逢うより人に出逢う方がびっくりするような山がごく近所にあることはうれしい。小武川第3発電所を起点の周遊コースは地形図片手に謎解きのような楽しみがある。のんびりと約7時間、早春の山を堪能した。かつての記録はここに書いた。
要害山〜大蔵経寺山(甲府北部、石和、塩山)

甲府の北山は春に限ると勝手に思い込んでいて、ついこの季節に計画してしまう。きっと富士五湖地方や八ヶ岳の寒い地方に住んできたから、ひと月は遅い春が待ちきれないのだろう。雨の中の出発だったが、深草観音で昼休みするころにはみるみる晴れて、後半は実にさわやかな新緑の尾根歩きとなった。車では不合理なコースなのでJR利用としたが、おかげでたどりついた石和駅で心置きなくビールにありつけたのは近来ない幸せだった。
笠無(谷戸)

ロッジの奥座敷として使わせてもらっているこの山、いったい何回登っただろうか。それでも麓の藤岡神社からほとんど一直線で頂上に突き上げる南西尾根は、後半部分をまだ歩いていなかった。思っていたとおりの気分のいい尾根で、いかにも登ったという達成感があった。北巨摩の山は概して明るい山が多いが、津金の山はその代表といえる。人は遠くに行かないと旅したような気になれないが、近所にいくらでも知らないところがある。これも旅である。
鉄砲木の頭(須走、駿河小山、御正体山)

山中湖をめぐる山歩きとしては、石割山から、富士を正面に眺めながら北岸の草山を南下するのがよく知られているが、籠坂峠を起点に富士に背を向け歩くこのコースは、眺めこそ前述のコースに劣るものの、樹林のすばらしさはそれを補って余りある。天気さえ良ければ富士も見えるのだがあいにく一度も顔を出さなかった。霧にかすんだ新緑のブナ林、広い尾根道の林床を覆うバイケイソウ、ちょうど見頃だったフジザクラ。景色など見えずとも、こんな林の中を歩けるだけで幸せな気分になれた。

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