88. 阿夫利山   
         1986(昭和61)年2月16日

「上野原」「大室山」の2.5万図2枚、このときの足跡をたどってみればよく歩いたもの、それも車道をと我ながら感心してしまう。山田さんともども、なにしろ皆お若かったというべきであろう。もう30年も前のこと。

まずは上野原からバスで秋山川の谷に入った神野が歩き出しの9時8分過ぎ。ここから金波美峠へあがる破線路があるはずと、あらためて「大室山」」を拡げてはみたものの、今となってはゴルフ場造成中で昔の峠道などどこへやらだ。仕方なく雑木林の急な山腹を頭上の青空めがけて掻きあがった。

と、登りついたそこは金波美峠からわずか離れた尾根上で、ここまであがってしまえば阿夫利山729㍍も遠くはない。あとは眺めのよい尾根道をたどり、阿夫利山を越してからは北に井戸沢におりる踏跡を拾っていった。

途中からは林道になって人家が出てきたのは富岡の集落であり、後半は藤野駅までの長い車道歩き。バスの便が悪いにしろ、富岡‐秋山大橋‐奥牧野‐塞ノ神‐藤野駅とたっぷり2時間はかかる道のりだった。今ならば富岡へ出たところで「上野原か藤野からタクシーを呼びませんか」となり、山田さんにしろ二つ返事で「そうしましょう」とおっしゃるに違いない。



上 秋山川にそっては転々と集落が続いていた。奥の雪山は大菩薩連嶺の山並み。

中 右には峰山が近くに見えている。

下 山田さんの尻皮はアナグマだと聞いた記憶がある。こちら二人のそれはそろって安い犬の皮。

(2015.7)

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