31.鎌倉岳と口太山
   1999(平成11)年12月12日

東北吾妻連峰の吾妻小舎の営業期間は、毎年、スカイラインの除雪が済む4月下旬から始まって11月初旬の文化の日前後までとなっている。そこで「冬はずっと下の家にいるから阿武隈へ行こうよ」と小舎の遠藤守雄さんがよく誘ってくれた。

阿武隈の山はなだらかな低山が多くて登るのに苦労はないが、交通の便が悪いのが難点である。バスもあるにはあるが本数が少ないうえに時間が悪い。やむなくタクシーを使うにしろ、そのメーターの上がり具合が心臓と懐に少なからぬ負担をかけて、とても行きにくい山ばかりだ。そこで遠藤さんが車を出してくれるとなれば天の助け、なんで出かけずにいられようか。そうした遠藤さんのおかげで、福島や郡山を基点とする阿武隈のめぼしい山にはほとんど登ることができた。阿武隈の山には、遠藤さんの思い出が一杯だ。

この今から15年前の年は暮れの3日間、初日11日は福島駅で遠藤さんと待合せ、水石山、赤井岳、吃兎屋山に登ったあと富岡の海遊荘泊、翌12日は常葉の鎌倉岳、口太山、千貫森を稼いでから遠藤さんの家に厄介になった。3日目は「2日で6つも登れば、もう大満足」と、そのまま福島駅まで送ってもらって帰宅した。



上 阿武隈には鎌倉岳と名のつく山が竹貫と常葉にある。竹貫の鎌倉岳は670㍍、こちらは967㍍の高いほうの常葉の鎌倉岳で、頂上には天日鷲神社の石社が置かれている。展望は360度さえぎるものはなく、寒風に吹かれながら山座同定を楽しんだ。

中 登山口付近から仰ぐ鎌倉岳。岩を意味する「倉」の字がつくだけに、頂上一帯はいっぱしの岩峰になっている。しかし、登りでも1時間弱の小さな山だった。

下 口太山842.6㍍の頂上。広場のようで、ここも眺めのよいところだ。

(2014.9)

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