26. 曲ヶ岳から1700㍍峰
    1997(平成9)年4月17日

今、こんなところを断りなく勝手に歩こうものなら、本欄勧進元のご主人に「その辺は私のテリトリーです。無断で足を踏み入れないで下さい」と叱られるかもしれないが、まだ、そうしたオーソリティ―とは知り合う前のこととしてお許し願いたい。

早春の1日、寺田政晴君と桝形山から北に続く尾根を伝い、1700㍍無名峰や地形図に長窪峠と名を残す辺りを探ってみようということになった。道順は以下の通り。

甲府(タクシー)観音峠‐曲ヶ岳往復‐八丁峠‐桝形山‐1700㍍峰‐長窪峠‐下黒平(タクシー)甲府



上 1700㍍峰への登り(長沢註 最近ではこの山に大野山という山名標が付けられているというが、大野山とはこの山域の総称である)。

中 桝形山から黒富士を望む。

下 1700㍍峰の山頂近く。この辺りはまばらな雑木林の明るい尾根が続き、なかなかの雰囲気だと3人は賛辞を呈した。山頂からさらに北に尾根をたどると、ほどなく左側の林道におりて10分ほど、なんの標識もないが、ここがかつての長窪峠に違いないと見た鞍部から寒沢川の谷におりた。

今は廃道にしろ、昔は里人往来の峠道が通じていたのだから、谷筋でも、それほど悪いところはない。2時間もしないうちに、まずは無事に下黒平の集落におりつくことができた。しかし、この先をどうするか。人家のあるところへ出れば、なんとかなるだろうくらいの調子でおりてきただけで、その先を考えてはいなかった。

甲府行きのバスが出るのは猫坂を越した向こうの金桜神社だから、歩くとすれば2時間はたっぷりかかるだろう。そんな苦行は、もう真っ平御免だと、道端の家に立寄って電話を借り、甲府からタクシーを呼ぶことにした。「車をお願いします」といってから、こちらの居場所をつげると、応対のおじさんは「えっ、黒平 !? ですかぁ」。まるで人外境から配車依頼をしているような驚いた声をだしたのがおかしかった。それでも小1時間も待つとちゃんと車がやってくるから大したもので、料金も思ったよりは安い7500円。「楽しかったねぇ」の1日だった。

(2014.7)

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