台倉高山 
  1976(昭和51)年5月15、16日 

栃木県と福島県との境をなす帝釈山脈上の2066.7㍍の山。福島県側は桧枝岐川の支流舟岐川にそって登れば、南会津の山といってもよいだろう。私はこの山を望月達夫さんに教えてもらい、若い友人の加藤隆君とテント持ちで登りにいった。

望月さんのいうことには「この時期ならば沢には雪が詰まっていて造作ない」だったが、実際には雪は沢の上部にしかなく、大荷物を背負っての沢登り薮漕ぎになった。しかし、いったん尾根にあがってしまえば快適な雪稜となり、硬雪を踏んですんなり登れた。

なお、台倉高山からくだった日の午後は桧枝岐にテントを張り、翌17日に桧枝岐川左岸の三岩山2065㍍に登るつもりで出掛けたが、途中から濃い霧に包まれてホワイトアウトの状態になった。空と雪面との区別がつかず、ただ乳白色の中を操り人形のように歩くだけで方向の見当がつかない。おそらくあと20分か30分で頂上というところから引き返す羽目になった。



上 台倉高山山頂から尾瀬方面の雪山を眺める。

中 2日の朝、テントをでると間もなく、台倉高山が近づいてきた。

下 沢の途中で摘んできたフキノトウを刻んで味噌汁にちらせば、気分満点の春の雪山だった。

(2013.7)

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