根本山、熊鷹山
   1975(昭和50)年2月10日

山田哲郎さんが『静かなる山』(茗溪堂/1978)に書く「根本山」はこの時の山行に因っているが、それには「桐生川上流域を馬蹄形に囲む分水界上」にあるのが、根本山、十二山、熊鷹山だと説明されている。みな1000b少々の低い山ばかりだが、あまり歩く人もなく「静かなる山」志向の私たちにとっては見逃しえない山域だった。桐生川沿い最奥の集落津久原にある清風館という宿に2泊しての山歩き。



上 根本山1197bの山頂。沢沿いの道には凍った雪がこびりつき、滑りやすかった。

中 熊鷹山1168.6bの山頂は眺めがよく、雪に輝く日光山群が素晴らしかった。

下 足尾線神土駅。3日目は桐生川右岸の尾根にあがり、三境山1088bのすぐ北側の峠道をたどって渡良瀬川の谷へおりた。そして足尾線の草木駅へでるつもりだったが、折から草木ダムの工事中であたり一面ただならぬ気配だ。聞くと、なんと線路は地下にもぐり草木駅はなくなったというではないか。

「私たちはあっけらかんとして思わず顔を見合わせたのである。代替の村営バスが沢入‐神土間に通じていて帰るに事なきを得たものの、山から降りてきて鉄道と駅が消えていたのは、二十数年来の山登りの間で初めての経験だったのである」と、やはり山田さんの文章を引用させていただこう。

(2013.4)                       

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