犬切峠、笠取小屋
  1962(昭和37)年8月17〜19日

まだ、家に冷房がない頃、夏の暑い盛りには笠取小屋で2、3日過ごしてくるのが毎年のことだった。夜は布団1枚では寒いくらいになり、息を吹き返すおもいだった。当時は塩山から落合へのバスもあったので、気楽にいけた。

落合からは、まず犬切峠を越して一ノ瀬の田辺正道さんの下の家に立ち寄って昼食。時によると、その座敷で昼寝をさせてもらい、そろそろ涼しくなってきた頃を見計らって小屋にあがることもあった。オバサンに「これを上に届けて」と荷物を頼まれることもあったし、また、「学校も夏休みだから静と徳治を連れていっておくれ」といわれ、ご子息同伴で登った日もあった。



上 落合から犬切峠を越す車道は、今とは異なるところを通っていた。もっと右側の山腹を登り、峠の位置も違っていた。また、その旧車道の脇には近道の歩道もあって、そちらを歩くほうがずっと早かった。写真は峠をわずかに一ノ瀬側に越したところで、正面に高いのは奥秩父主脈の山並だ。

中 雁峠から15分も歩くと、笠取山の中腹に水神社が祭られ、そこが多摩川の源とされている。水が滴る大岩の上には「水神社」の石額があり、前は南に眺めのよい広場になっていた。しかし、ある年の大雨で広場が崩れ、今のように狭苦しいところになってしまった。

下 正道さんには2男2女があり、この写真は長男の静君。彼はこのとき小学校の1、2年生だったろう。今は60に近いいいおじさんで、小屋を管理している。

(2013.4)                       

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