富士浅間山、木々岩峠
  1980(昭和55)年12月28〜30日

この西上州行は多彩な顔ぶれだった。藤井実、山田哲郎、福原清憲、大森久雄、深田沢二の諸氏に、こちら二人。上信電鉄終点下仁田の旅館下仁田館に2泊して、富士浅間山、物語山、鹿岳、木々岩峠などをほっつき歩いた。

その昔、藤島敏男、村尾金ニ、深田久弥、川北壮太郎、松本義夫の錚々たる方々が熊伏山、小川路峠を歩いた折、前夜したたか呑んだ深田、村尾、松本のお三方の後ろを歩くと「まるで酒屋の店先を歩いているようだぜ」と藤島さんがいったと深田さんが書いているが、この時も、そっくりそのまま。

深田沢二さんほかのあとについていくと酒屋の店先そのものであり、私は「沢二さんは、やはり深田先生のご子息だけのことはあるね」と家人と顔を見合わせた。沢二さんの水筒にはウィスキーが入っていて、それが前夜カラになったというのだから無理もない。

ちなみに、「まるで酒屋の店先云々」は「人のいない山」(『瀟洒なる自然』新潮社/昭和42年)にある一節。それは1964(昭和39)年新春の山歩きで、深田さんの紀行文が楽しいかぎりだ。



上 どこから写した写真か思いだせないが、妙義山に重なっては榛名山、左遠くには雪山が見えている。この雪山はおそらく谷川連峰の続きに違いない。

中 木々岩峠の近くだと思う。西上州では、こんな奇怪な岩峰にお目にかかることも珍しくなかった

下 左から福原清憲さん、深田沢二さん。

(2013.3)                       

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