唐松尾山
  1977(昭和52)年11月5〜7日
 
雲取山から奥秩父主脈を西にたどるとき、将監峠の先、山ノ神土からは稜線上の道を歩いたほうがずっと気分がよい。

山ノ神土で道は3方向に分かれ、右が和名倉山への道、真ん中のやや上にいくのが稜線にあがる道、左が昔からの縦走路となっている。以前は踏み跡以下で分かりにくく、深い笹を分けるところもあった稜線上の道も、今では歩く人も多くなって明瞭である。

一般の縦走路は尾根をぐるぐる巻くばかりで眺めもなく、終いには飽き飽きしてくるだろう。これに対して稜線上の道は御殿岩、唐松尾山などの好展望台があって楽いし、奥秩父そのものの重厚な森林をくぐっていくのがいい。

この時、私たちは将監小屋に泊まった翌日に唐松尾山に往復した。小屋に戻ってから、さらに竜喰山にも登るつもりだったが、天気が怪しくなってきたので、そのまま一ノ瀬へくだってマサミッチャンのオバサンの家でもう一泊している。



上 唐松尾山の三角点からほんの5分、北に伸びる枝尾根をいくと眺めの開ける岩頭にとびだす。ここからは木賊、甲武信、三宝の、原全教さんのいう「大三国」の連なりが抜群である。御殿岩へは、唐松尾山へ登る途中から道が分かれ15分も登れば岩頭にでる。
ある年の5月、私はそこから残雪輝く北アルプスを眺めて大感激だった。

中 三ノ瀬から将監峠へあがるこの道も、今は小型の車が走るようになった。

下 当時の将監小屋は、いかにも奥秩父といった感じのつくりだった。設備万端整った今様の山荘もよいが、私にはこんな小屋のほうが気楽でよい。

(2012.10)
           
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