四方原山、茂来山
  1972(昭和47)年4月23、24日

なにしろ長いアプローチだった。家を6時にでてからJRは中央線、山手線、高崎線、それに上信電鉄と乗り継いで下仁田が10時半、さらにバスに小1時間乗って終着の観能が11時40分。そこは、まだ群馬県のうちで、この先は大上峠を越えて長野県におり、古屋の宿に泊まってから上記の2山に登ろうというのが、このときの計画だった。

例え信州にはいっても、この辺は御座山も含めて、なんとなく西上州的気分で登りにいったところだ。一時は望月達夫さんや川崎精雄さんにならい、神流川や南牧川流域の、いわゆる「西上州の山」にせっせと通ったものである。



上 四方原山山頂の手前から御座山を眺める。以前、四方原山の上は名の通りの広い草原で気持ちのよいところだったそうだが、私たちが登ったときは落葉松の植林が育ち、もう草原の感じではなかった。人物は黒田正雄さん。

中 茂来山の頂上には露岩があり、とくに北側に向かっての眺めがよい。この後、私は2回登ったが、「やんごとなきお方」の登山記念碑がたつようになってからは、今ひとつため息をつくようになった。昔のままの小石社1つで充分ではないか。

下 下仁田からのバスはこの観能まで。今は廃業してしまったが、かつて、ここに由緒ありげな玉生館という旅館があり、藤島敏男さんとも顔なじみという威勢のいいおばあさんが取り仕切っていた。私も1度泊まったが、はげはげの金蒔絵のお碗で大きな筒切りの鯉こくが出てきたのが忘れられない。

(2012.10)

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