仙丈岳
   1956(昭和31)年3月18〜21日

3月の仙丈岳には2度登っている。いずれも奥多摩山岳会にいたときの山行で、春のお彼岸休みに「長衛の北澤小屋」をベースに仙丈岳と甲斐駒ヶ岳に登る計画だった。

56年、57年と2年続いての山行だが、どちらの年も天気には恵まれず、やっとこ仙丈岳にしか登れなかった。56年のときはまるっきりの悪天候で甲斐駒の予定日は小屋で停滞、57年は六方石付近までいったが強風に翻弄され、ほうほうの体で敗退した。寒さも厳しくて鼻の先が凍傷になり、フイルムも固くなって巻上げ途中で切れてしまう始末だった。

というわけで、56年も仙丈岳に登ったにしろ、上のほうではカメラを出す余裕がなく、はかばかしい写真はない。しかし、北澤小屋の竹澤長衛さんを写しているので、当時の小屋の写真とともにご披露しておこう。



上 新宿を夜行でたって飯田線の始発に乗換え、伊那北からこれも始発のバスに乗って戸台入口までいくのが当時のアプローチだった。戸台入口からは延々戸台川の河原を歩いたのち八丁坂をあがって北沢峠、長衛さんの小屋はその先にあった。戸台川の河原をいくときは正面に真っ白い山が見え、あたかもカラコルムの氷河をいく気分だった。この写真は山をくだってからの1枚。

中 竹澤長衛さんは古くから南アルプス北部にこの人ありと知られた案内人で、1925(大正14)年春の第三高等学校のパーティーが積雪期の仙丈岳、間ノ岳、北岳に初登頂したときにも同行している。

下 人物は奥多摩山岳会の中野英次さん。小屋には他に女子大の1パーティーがいるだけだった。こちらのリーダーの高田孝さんが「ふつつかなものたちですが」と挨拶したが、悪童どもは「なんで俺たちがふつつかなんだよ」と文句たらたらだった。

(2012.10)

  中、下の写真はクリックすると大きくなります。

横山厚夫さんのちょっと昔の山 トップに戻る