右の小さい画像にマウスを置くとメインの画像と入れ替わります   

         中之倉山 2014.5.8



本栖湖を巡る山々は、パノラマ台付近をのぞけば好事家向きの山ばかりだった。竜ヶ岳ですら21世紀になろうとするときに藪が刈り払われて一般的な登山道ができるまでは物好きだけが登る山だったのだから、年末年始にはダイヤモンド富士を見ようと押すな押すなと人が詰めかけるという話を聞くと、たった20年しかたたないのに隔世の感がある。

中之倉山はもともとそんな名前があったのかどうか。本栖湖西岸に近い稜線では一番高くて三角点もあるから、その三角点名「中ノ倉」をそのまま名前としたのだろう。

ちょうど我々が登る直前にコース整備がされたとみえ、道標などがまだ新しかった。このあと、『山と溪谷』誌に私が案内を書いたりしたから、今では歩く人も増えているかもしれない。だが、1000円札の富士山を岡田紅陽が撮影したという地点以外に眺めの開けるところもないので、竜ヶ岳ほどのにぎわいはないだろう。もっとも、静山派にはそれが美点となる。
                                (2020.5) 

木曜山行報告へ
 戻る