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          八子ヶ峰 2012.12.16



山岳書に興味のある人ならお茶の水駅前にあった茗溪堂を知らない人はいないだろう。今では店舗はなくなってしまったが、私が山岳書蒐集に熱くなっていたころ、たまに上京したときのコースは、中央線をお茶の水駅で降りて、駿河台下経由で水道橋駅まで歩くというものだった。すなわち、まず茗溪堂に寄って、ときにはオーディオユニオンを冷やかしつつ駿河台下へと下り、新本や古本を物色したのち、さかいやにも寄ったりしながら水道橋駅へというコースである。

先代が社長だったころから茗溪堂と親交のあった横山厚夫さんが、2代目社長の坂本克彦さんをロッジへと何度も誘ってくれてはいたのだが、なかなか都合がつかなかった。それが初めて実現したのがこのときだった。

夜の談笑の翌日、快晴となった。繰り出したのが横山さんお気に入りの八子ヶ峰で、その好天ぶりは写真で見るとおりである。私同様、『山の本』に連載をしている坂本さんはこの日のことを翌年の春号(83巻)に書いてくださった。その題が「達人は達人を知る」というもので、つまり横山さんと私が達人だというわけなのだが、いささか面映ゆい内容ではあった。

私は自分から積極的に人とお付き合いをしようという柄ではないが、こうやって、思ってもみなかった方々とお知り合いになれるのは、山宿を営んでいる役得というしかない。

(2018.3) 

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