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森林書房から出ていた『遊歩百山』という本の5号に書いたものです。不特定多数の人の目に触れる山のガイド文を書いたのはこれが初めてでした。その後、春日山付近は何度も歩きましたが、黒坂峠以西がとてもいい眺めを楽しめるようです。

                  春日山、春日沢の頭

車を使った登山では何とかして一筆書き登山になるように頭をひねることになる。ガイドブックや地図を眺め回して面白そうなコースを捜し回る。それが高じると地形図の破線が気になり出す。ところが、地形図の破線はもはやあとかたもないような道である事が少なくない。

さて、今回の春日沢の頭である。二万五千図河口湖西部によると境川村八反林から芦川村中芦川へ黒坂峠を経て車道が乗り越している。その道から分かれる破線をたどって稜線上の小峠(古峠)に至り、東へ春日沢の頭(1235.1)をピストンし、西へ地図上の春日山(1158)に登り、さらに西進し黒坂峠からは車道を下って出発点に戻ろうという計画である。

例年になく雪の少ない三月上旬、八反林の奥の林道入口のゲートの脇に車を置いて歩き始めた。舗装路をしばらく歩くと左に堰堤工事用の道が分かれるがそのまま行くとすぐに地図上で破線路が分かれる、林道が狐川を渡る場所に出る。道らしきものはどこにもないが、そのまま強引に沢の右岸を登る。

やがて、先ほど分かれた工事路にとびだす。そのまま水害で荒れた道を歩くと程なく終点になる。沢沿いの山腹に分け入ってしばらく行くとなんとなく踏跡らしきものが現れた。それで安心して磁石も見ずに歩いているうちに道を失ってしまった。南に進むものをいつの間にか東の山腹を登っていたのだ。戻るのも癪なので、アキレス健が伸び切りそうな斜面を尾根まで登り上げた。町村界尾根である。割としっかりした道がありごみも散見される。南進してまもなく小広い草地の春日沢の頭へ飛び出した。

共同受信用のアンテナが林立し、南アルプス北部から八ガ岳、奥秩父にかけての眺望がよい。しばらく休んで本来たどり着くはずだった小峠へ急降下する。そこには、境川への道はなんとなくあったが、芦川側には痕跡すらなかった。春日山に登る。頂上付近は伐採されて苗木が植えらればかりの状態で眺めは良い。東には釈迦ガ岳が、黒坂峠へ降りる途中からは節刀ガ岳が互いに見事なピラミッドを見せる。黒坂峠からは冬季閉鎖中で落石のごろごろした舗装路をのんびり下った。

1992年3月8日

林道ゲート(15分)沢(15分)工事道
路終点(50分)町村界尾根(10分)春日
沢の頭(10分)小峠(10分)春日山(2
0分)黒坂峠(50分)林道ゲート

地形図 河口糊西部

アドバイス

私の辿ったコースをそのままなぞる人はな
いと思うが、旧道捜しは木の葉の落ち切った
時季以外考えられない。車が黒坂峠、もしく
は、鴬宿峠まで入れる期間にはタクシーで時
間を稼いで東へでも西へでも稜線歩きを楽し
んだほうが理にかなっている。バスの利用は
不便すぎる。ただし車で気軽に入れるこの山
域は登山者の少ない割りには地元の山菜採り
きのこ採りの連中が平気でゴミを撒き散らし
ていくので、そういう面での失望は避けられ
ない。

境川村役場(0552)66-2111
芦川村役場(0552)98-2111

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