黒部の谷底から400メートル近く上の水平道から見る奥鐘の壁。、岩壁の中央最上部、アーチ状のオーバーハングを越えていくのが73年に登ったOCCルート。右側の白いスラブ壁に西壁の初登ルートである紫岳会ルートがひらかれている。80年代に入ると奥鐘はにわかにブームを迎えるが長くは続かず、国内外にフリークライミングが隆盛を極める中でいつか忘れられた。この岩壁は70年代のアダ花だったのだろうか。クラシックにはなり得なかったが、それなりに歴史的な役割は充分に果たせたと私は思いたい。

このトリオ、板垣克夫、荒木省一、中山昌之の3人は紫岳会ルートを登ったこの翌夏、マッターホルン、トリオレ針峰の両北壁を登って私を羨ましがらせた。(1976年10月上旬)