鳥谷山(川浦・茅ヶ岳)

「トヤ」という名前のつく山は多いが、たいていはツグミなどを捕まえる網場や、そのための小屋がけでもあったことに由来するのだと思われる。すなわち「鳥屋」だが、この山の場合は三角点名が「鳥谷」だから、漢字で書くなら鳥谷山とするのが無難かと思う。

14年前の秋に登ったことがあるが、もはや記憶は定かではない。しかし、藪にはかなりてこずった覚えだけはあるので、葉の落ち切ったときにしようと12月に行くことにしたのである。

本来、径らしい径があるわけではないから、地形図を見て登りやすそうなルートを考えるしかない。ところがそのとおり進んだはずが、雪に惑わされて無駄な迂回をしてしまった。おそらく30分程度は余分に歩いたと思う。

私好みの広い平な頂上だが、半分はカラマツの植林で、少々風情を欠く。新緑のころならのんびりするにはいいだろう。昨日は天気は悪くないものの、寒気が雲におおわれた北の方角からじわじわと忍び寄ってきて、南側の日当たりのいい場所で昼休みとしたが、あまり長居をする気にはなれなかった。

下りは、かぼそい作業道を拾って林道に出るまで時間はかからなかった。林道を歩いていると「鳥谷観音」とある案内板があったので、時間もあることだし訪れてみることにした。

これがなかなかの見もので、天然の岩窟に33体の観音像が並ぶさまは壮観であった。

案の定、車に帰り着くまで誰一人に会うこともなかった。久しぶりに径さがしの楽しみを味わった半日の藪山歩きであった。


梁川駅〜立野峠〜寺下峠〜梁川駅(上野原・大室山)

駅員もいない梁川駅に集合したのはなんと14人、師走の平日に山歩きをする物好きは少ないが、物好きもこれだけそろうと壮観である。

八ヶ岳からの6人に東京からの8人が加わったのがその内訳だが、ことほどさように、このあたりの山は山梨県にあっても、もっぱら東京の人が歩く山である。

おなじみの横山さんを慕って東京から参加された方々はいずれも多士済々、話題も豊富だが、長く伸びた行列では全員で話すわけにもいかない。自然と分かれたグループで四方山話が盛り上がるうちに立野峠へ登りついた。秋山川に沿った集落がすぐ下に見えて、出発した桂川の谷が深いことがよくわかる。

稜線を東進すると、南側の植林が若いところでは展望もきいた。雑木林の小さなピークで昼休みとする。どうせ誰も来ないだろうと登山道をまたいで座るが、はたして誰も来なかったし、結局山中でただ1人の登山者とも出会わなかった。

当初の予定では大地峠まで歩いて四方津駅へ降りる予定だったが、寺下峠で時間切れとなり、この先は次のお楽しみとすることにした。稜線上には名前のついた頂上もあるが、それもとってつけたようなもの、もともと、どの山を目指して登るという計画でもなかった。そしてそのとおり、ただただ山を歩いた1日となった。

逆方向に帰ることになる梁川駅では、上り下りの列車が同時にホームに入ってくるという別れ際の良さで、最後もびしっと決まった。

比志の塒(谷戸)     
 
今年の納会は行人山に登ったあとロッジに戻ってするつもりだったが、去年同様、森の中にある貸切レストランを参加者の皆様が予約してくれたので、それならもっと腹が減る山に行かなくてはならないと、比志の塒に変更したのであった。

過去2度利用したルートの前半をカットして、林道比志海岸寺線を起点とした。津金の山にはスズタケがないので、地形図さえ読めば気分よく登れる尾根がたくさんある。

主稜線に出て、眺めのよい岩場を過ぎ、比志の塒の頂稜を歩く。もとより比志の塒には頂上らしきものはない。たまたまある三角点が、頂点というわけでもないのに、通例でそこが頂上とされている。

三角点の北に比志の塒最高点の標識があったが、こういったものを設置する行為そのものに品がないというのに、さらにその看板も品のない色使いであった。

ともあれ、この平坦な頂稜の樹林はすばらしい。荷物を置いて、三角点まで往復する間の気分のよさ!

 夜は13人がレストランに集結、おおいに盛り上がったのは言うまでもない。


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