山之神社(市川大門)

年の初めの木曜山行は、数年前から新年会も兼ねるようになった。年の最後が忘年会を兼ねるのだから、山行プラス宴会が続くことになる。

去年、苗敷山で初詣も兼ねたことに味をしめ、今年も神社のある山で始めようと、白州の石尊神社の裏山に行き先を決めてあったのだが、短いが少々険しい部分があるので、雪でも降ったら危ないなと思っていたのが、雪が降ってしまった。

そこで、雪がなさそうで、道がしっかりしている豊富の山之神社に行くことにした。天気さえ良ければ山の眺めもすばらしい。山の頂上でないことが玉にキズだが、まあ仕方ない。

うまい具合に好天となった。正月も7日になって山の上の神社まで参る人はいない。1時間かけて登り、神社に参ったあとは、すぐそばの平地に車座になって、新年のお祝いをした。

誰に気兼ねすることもない、こんな山の宴会場があるのだからこたえられない。しっかり飲んで、ふらふらと下ったが、その後温泉に浸かったらまた復活して、韮崎での二次会となってしまった。


     
富士見山(切石)

富士川両岸の山は総じて急峻な山が多いが、富士見山もその例にもれない。富士川から一気に1400mそばだつ様は、例えば野辺山から見る八ヶ岳より、よほど目の前に大きく立ちはだかる。

古いガイドブックでは、その富士川べりのバス停から登ることになっていたりするが、今ではちょっと考えられない。よろしく車道が尽きるところまでは車を使わせてもらう。それにしても残りの標高差を1000m近く残しているのだから相当なものである。

この冬一番の冷え込みとなった朝だった。さほど寒くないはずの身延町に入っても零下4度の表示があった。

心配なのは雪の量だったが、それは大したことはなかった。しかし雪の下の地面が凍っていて、早いうちにアイゼンをつけることになった。雪の上には積雪後に誰かが登ったような形跡はない。

平須からの登山道は、参拝路を兼ねるとあって、うまくつけられているが、それでもかなり急である。中腹以上の樹林の良さはなかなかのものだが、急だし、足元は気になるしで、ゆっくり眺めているような余裕はない。3時間半かけてようやく頂上に着いた。

かつては、この奥ノ院といわれるピークを頂上とし、私のガイドブックでもそうしているが、細かいことを言えば少し南の三角点が少し高いので、今ではそこが頂上とされているらしい。我々は細かいことにはこだわならないので、展望のいいこのピークを頂上とし、昼食とした。富士はくっきりと見え、遠く駿河湾が光っている。

雲に覆われた南アルプス側から吹きつける風も、うまい具合に頂上には当たらないが、とはいっても寒い。そそくさと昼を終えると下山にかかった。帰りは堂平への道を下る。北向きをたどることの多い径は登りより雪が深いが、そのおかげで膝は楽である。

樹形のすばらしいブナが多いのはこの径のいいところである。やがて杉林の中に入ると、堂平のやすらぎの宮までは一投足だった。今日も山を独占したが、独占するのも楽ではないですな。

  
     
岩殿山から稚児落しへ(大月) 

岩殿山は大月のシンボルである。都留市に住んでいた学生の頃は、どこへ出かけるにしても大月を経由することが多かったが、帰途、この山が近づいてくると、ああ、戻ってきたなと思ったものである。

夜中降っていた雨も朝方にはほぼ止んだ。まるで4月のような暖かい朝だった。大月に着くころには薄日もさしてきた。

駅前の駐車場から歩き出すのは木曜山行としては珍しい。岩殿山の登山道は急な階段の連続とはいうものの、まず観光地の風情である。頂上から見下ろす大月市街や行き来する鉄道は模型のようである。富士は頂上を隠してはいたものの、天気予報が悪かったことを思えば上出来だろう。

稚児落しへの径に入ると、観光気分は一転、足元に気を使うようになる。短いが急な上下が連続し、ロープや鎖も次々に現れる。

兜岩という、名前どおりの形の岩には、劒岳もかくやというヨコバイ、タテバイがあって、Nさんが鎖に手をかけるときに、うっかり長年愛用の杖を落としてしまった。杖はあっという間に虚空に消え、Nさんはロウバイすることになった。

杖が身代わりになったと思えば幸運だった。さっそく、この場所には、「稚児落し」ならぬ「杖落し」という地名がつけられた。

稚児落しの岩壁の伽藍は少々奥まった場所にあるので、麓から望むのが難しい。ここまで登ってこなければ見られないという点では、このコースのハイライトである。登山道は岩壁の縁にあるので、足元がぞっとする。稚児落しの伝説が本当がどうかはわからないが、そのイメージがあるので陰惨な印象をどうしても持ってしまう。

稚児落しから急な径を浅利川に下る。大月駅までの車道歩き40分が長く感じられた。
  
     
太刀岡山(茅ヶ岳)

悪天のせいで1日延ばした太刀岡山だったが、都合がつく人がほとんどだったうえに、金曜日なら来られる人もいて、最初の予定より人数が増えてしまった。こんなことなら毎週順延にしようかと冗談が出た。

順延した甲斐のあった好天だった。この山がそれらしく眺められるのは、清川から少しホッチ峠方面に上ったところなので、登山前に山を眺めることにした。

そこから見える、登山道の通る稜線は実に急だが、登ってみると、小気味のいい登りともいえる。さほどの時間もかからず登頂とあいなる。

南アルプスや八ヶ岳は寒々しい雲に覆われているが、富士山方面の展望は申し分ない。登っている間にはわりと冷たい風にさらされたが、昼前に着いた頂上に風当たりはなく、山々を眺めながらの長い昼休みとなった。

越道峠への道は、雪が凍っていると厄介だが、その点この冬は安心である。さっさと下って、峠からは車道歩きを残すのみ。ふだん見慣れぬ側からの茅ヶ岳や金ヶ岳を振り返りながら、いたってのんきな下山であった。

午後もはやい時間に戻った駐車場に他の車はなく、昨日1日、太刀岡山を訪れたのは我々だけだったらしい。昨今人気の山としては望外の静けさを味わえたことになる。

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