男山(御所平、信濃中島)

佐久広瀬側から男山に登ることは滅多にないことだが、それをしてみようというのが今回の試みだった。なんたって、男山がもっともりりしい姿を見せるのがこの方角で、川平あたりからのするどい三角形は、まずどんな人の目にもとまる。登路を取り違えて少々すったもんだしたが、怪我の功名で珍しいルートを歩くことができた。下りにつかった臨幸峠への尾根は藪あり岩ありで変化に富み、今年最大の長丁場、木曜山行ならではのマニアックな味わいであった。
茂来山(海瀬)

小海から佐久平に入るまで、千曲川の谷筋の道からは西側八ヶ岳はほとんど望めないので、もっとも目立つのが東側の茂来山である。北側霧久保沢沿いの径は、樹林といい、林床の花といい、実にしっとりとした風情だった。頂上に立つと一転、底抜けに明るい。大展望が得られるはずだったが、あいにく遠くはもやにかすんでいたのは残念だった。今まであまりなじみのなかった山域だが、さほど遠くもないのだから、再度探ってみたいと思った。
石保戸山(柳沢峠)

犬切峠のすぐ下からはじまる尾根には道標の類はまったくないが、頂上まで延々と幅広い防火線が切られていて、実にのんびりと歩くことができる。東京都水源林として大規模な予算の投じられた人工的な風景でもあるのだが、粋なはからいで点々と防火線に残されたミズナラやニレ、クリなどの巨木が卓抜なアクセントになって、ごく自然な美しさを感じさせる。こんな山が無料で終日貸切なのだからこたえられない。早め下ったので、藤尾山を往復した。これもマニア向けの山である。
十文字山(居倉)

三国峠から十文字峠へと縦走するはずだったが、午後は雨の予報に、毛木平から十文字峠への往復とした。お目当てのシャクナゲだけでもという思いからだったが、あいにく花づきが今年は悪く、時期も少々遅かった。ピークをひとつも踏まないのもメリハリがないので、十文字山まで登ってみた。展望もない、三角点がポツンとあるだけの頂上だったが、いかにも奥秩父らしい森を歩くことができたのは収穫だった。午後早く登山口に戻った頃、雨が降り出した。
稲子岳(蓼科)

イワカガミやコマクサの群落をめぐる山歩きである。いいところは何度歩いてもいい。ひさしぶりの実にさわやかな好天に足取りも軽い。花も期待通りだった。まったく去年と同じ行程でもつまらないと思い、かねて訪ねたいと思っていた稲子岳の凹地に寄り道したが、これがこの日の山旅の白眉となった。黒い森を抜けると、ウソのような草原がポッカリと広がっていた。足の置き場に困るような花の群落、周りを山に囲まれ、まるで自然のコロシアムのようだ。すぐそばにこんな場所があるなんて。
栗沢山(仙丈ヶ岳)

八ヶ岳南麓から見ると、甲斐駒の左に、大きく落ち込んだ仙水峠を隔てて早川尾根が連なる。栗沢山はその一番最初のピークだが、突出した山容ではないため、あまり人の口にのぼることはない。しかし場所柄、南アルプス北部、ことに甲斐駒の雄姿を望むにはこれ以上の場所はない。梅雨時だから展望が心配だったが、杞憂に終わった。むしろ雲が変幻自在に山を彩り、飽きることがなかった。頂上にいたオコジョは実にかわいい奴だった。

2006年の計画に戻る   トップページに戻る