身延山(身延)

雨天順延した甲斐なく、この日も半日雨模様だった。他の山なら中止にしてしまうところだったが、杉木立の参道はそれなりに風情がある。帰りはロープウェイでと決めていたから、その点でも気楽ではあった。そんな天気だったから、普段なら頂上までロープウェイで登ってくる観光客もひとりもおらず、まったくの貸切となったのも木曜山行らしかった。時間があるので久しぶりに本堂ほかの伽藍をゆっくりと歩いてまわる。本堂の前に来年には五重の塔ができるのだそうな。

小倉山(大菩薩峠)

麓のザゼン草の群落が有名になって、その整備ついでに頂上に大きな物見台ができた。甲府盆地と南アルプスの眺めがいいのだが、この日は恵まれなかった。上条峠経由へと遠回りして、すばらしい雑木林を楽しみながら歩いた。帰り道にあるザゼン草の群落はやっと咲き始めで、人影が少ないのはありがたい。こういった山野草にも流行があるのだろう。つい先ごろまでは群落があってもあまり見向きもされない草だったのだから。
本社ヶ丸(河口湖東部)

笹子川右岸の山々は古くから好事家に歩かれてはいたが、決して道標完備というわけではなかった。それが今や、大人気の高川山をはじめ、誰もが歩ける山となった。最高峰本社ヶ丸もその例にもれず、道標完備である。寒々しい天気で富士山は姿を現さなかったが、周りの山々はなんとか眺めることができた。八ヶ岳方面よりむしろ多い雪と凍った地面にてこずった。尾根筋の樹林が白眉である。新緑に歩けば身体中に力がみなぎるような径である。
高尾山(諏訪)

岡谷の高尾山は地元ではよく知られた山だが、わざわざ八ヶ岳くんだりから出かけていくのも酔狂な、ごくごく小さな山である。かつて山城があったという山頂は岡谷市街側が切り開かれ、諏訪湖を前景にした八ヶ岳がずらりと眺められる。塩尻峠から南下する尾根まで登ってみた。尾根筋にはハイウェイが通っていて公園もある。真冬の空気の澄んだ日なら南北アルプス、八ヶ岳、御嶽と豪勢な山岳風景となるだろう。かつて中仙道が通っていたという小野峠を経て登山口に戻った。


九鬼山(都留、大月)

禾生駅あたりから見るとなかなかりりしい姿をしている山である。かつては薄暗かった登山道は、枯れた赤松が切り倒されてすっかり明るくなっていた。頂稜にでると富士が大きく眺められるが、むしろ三角点からの大菩薩や北都留の山々の品定めのほうが面白い。この山では山頂から札金峠にかけての樹林が白眉だと思う。新緑の頃にでも歩けば見事なことだろう。猿橋までは突起をいくつも越えていく長丁場、御前山(大松山)からの眺望はすばらしかった。
観音峠(茅ヶ岳)

文化文政の頃全盛を極めた御嶽(金峰山)信仰。須玉町岩下から観音峠を越える径はその参拝路でもあった。岩下の萬屋という酒屋が道しるべをかねて石の観音様を一丁ごとに置いたという記述が原全教『奥秩父續篇』にある。今やまず歩く人もないこの径。それでも何とか痕跡が残り、途中12体の観音像や石仏を見た。ものごとには栄枯盛衰があって、枯と衰にこそ味わいがあるのは皮肉である。峠近くなると金峰山が実に神々しく眺められる。かつて信者が見たのと同じありがたい金峰山である。

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