小金沢連嶺縦走(大菩薩峠)

人気のある大菩薩連嶺だが、この山域は人の訪れの少ないところである。昨今のマイカー登山では車の配置が難しいからでもあろう。今回も誰にも会うこともない静かな山歩きができた。天気は今ひとつだったが、しっとりとした秋の森を楽しんだ。縦走の最後、白谷ヶ丸で見た孤高の富士山が印象的だった。
下に見える実に目障りな湖をつくったダムや送電鉄塔の工事で道路が整備され、こうやって気軽に縦走できることをどう考えるべきなのだろう。
鞍掛山(長坂上条)

前衛の山で甲斐駒にここまで肉迫する山は他にない。古人はよくもこんな場所を見つけて数々の石造物を運び上げたものだと我々は思うが、重機がなければ力仕事ができないひ弱で想像力にかける現代人の幼稚な感心かもしれない。今季初の雪をいただいた甲斐駒との対面となった。参加のN野さんは50年ぶりの再訪だとか。ガイドブックに出てから登山者が増えたが、それでもまだ道標の類は皆無で、静けさを保っているのは幸いである。かつての紀行もどうぞ。
高登谷山(御所平)

文化の日の休日だから少しは登山者に会うかと思ったら誰ひとりにも出会わなかった。落葉松の黄葉はまだ残っていたが、その他の木の葉はほぼ落ちてしまっていた。高登谷別荘地からの登路も悪くはないが、相当な鉄砲登り。北東尾根は多少藪っぽいところもあるが、斜度が適度でのんびり登れる。帰りがけに降り立つ林道には白樺の純林があってすばらしい。女性に好まれるコースだというのに、今回は女性の参加者がひとりもいなかったのは残念。
御陵山(御所平)

予定を変更してこの山にした。つい川上の山を選んでしまうのは、ロッジから近いのもさることながら、僕の好む山が多いのもその理由である。一言で言えば明るさである。この日本でもっとも高い平均標高を持つ村は、山に囲まれていながら、不思議と閉塞感のない空間がある。いったい御陵山に何回登ったろうか。天狗山と八ヶ岳が重なる光景は素晴らしいのだが、それを邪魔する大送電鉄塔。しかし、この山に登るにはその巡視路を利用するのである。嗚呼 !!
大谷ヶ丸(笹子)

日帰りの山では、たとえ小さな山でも一日一山が僕の基本方針、それはひとつの山の印象をより強くしたいという気持からである。大谷ヶ丸は普通縦走途中に通過する山だけれども、この山だけに登りたいと設定したのが、曲り沢から登り、大谷ヶ丸北峰から西尾根を下る周遊コース。葉が落ち、雪のない晩秋から初冬にかけてが絶好だと思う。実に美しい雑木林を楽しむことができた。たまたまボージョレヌーボーの解禁日、それにかこつけて頂上で祝杯をあげた。
屋根岩(金峰山、居倉)

気候のいい時季なら必ず何人ものクモ男が張り付いている屋根岩の岩峰群も11月末ともなれば誰もいない。クモ男ではない我々も、最高点1906mの岩峰の基部までは踏跡を追ってたどりつける。横山厚夫さんをお迎えし、廻り目平からにぎやかに藪をこいだ。北側の武蔵野市の施設への径が拓かれているが、すこぶる急である。河原まで降り切れば、あとは白樺林の中、整備された散歩道をぶらぶらと起点まで帰ることができる、屋根岩完全一周コースである。

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